IPアドレスとは?初心者向け徹底解説!グローバル/プライベート/DHCP/確認方法まで

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IPアドレスって難しそう?大丈夫です!「グローバルIP」と「プライベートIP」の違いを世界と町内の住所に例えて、仕組みから確認方法までIT初心者向けに徹底解説します。

イントロダクション

IPアドレスとは? インターネットの「住所」の役割

 インターネットが当たり前になった今、私たちは意識せずに毎日たくさんの情報を受け取ったり送ったりしています。 これを実現している重要な技術の一つがIPアドレスです。


 IPアドレスとは、簡単に言えば、ネットワークの世界における住所のようなものです。この住所があるおかげで、PCがWebサーバーに「このページを見せて!」とリクエストを送ったり、メールを送信したりといった通信が成立します。


 この記事では、IT初心者の方でも理解できるように、IPアドレスの基本からその種類、そして裏側の仕組みまでを解説します。

IPアドレスの基本定義

IPアドレスの正体:コンピューターの「識別番号」

住所とIPアドレスの対比図
人がどこかに行くときには住所が必要です。ネットワークの世界ではIPアドレスが住所にあたります。

 皆さんが見知らぬ土地に行くときに、どうやって目的地に向かうでしょうか?地図アプリを利用したり、その土地に行ったことのある人に案内してもらったり、手段はいくつかあるでしょう。ここで共通する重要な事は、目的地の場所、すなわち住所です。

 コンピュータの世界においても同様のことが言えます。他のコンピュータと通信を行うには目的地の場所を特定する必要があります。この目的地の場所のことをコンピュータの世界ではIPアドレスと呼びます。

 少しかしこまった言い方をすると、IPアドレスとはコンピューター同士が通信を行うときに利用される、機器ごとに割り振られた識別子(ID)のことです。

主流のIPv4形式:4つの数字の塊の意味

 現在のインターネットの主流は、0~255の数字をドット(.)で区切った4つの数字の塊で表現されます

 例:192.168.1.1160.251.177.224

 この形式で表現するIPアドレスを、正確にはIPv4(Internet Protocol version 4)アドレスと呼びます。

2種類のIPアドレス:プライベートとグローバルの違い

2種類のIPアドレス:プライベートとグローバルの違い

 IPアドレスには、その使える範囲によって、「プライベート」と「グローバル」の2種類があり、役割が異なります。

 見知らぬ土地に向かう例を、この2つのパターンに分けて考えます。

IPアドレスの種類人の世界での例え特徴
プライベートIP町内の人だけがわかる目印。
「○○小学校の真正面」や「△△商店街の隣の坂を上りきったところ」など。
閉じたネットワーク内でのみ有効なIPアドレス。他ネットワークで重複OK。
グローバルIP世界で通用する正式な住所。インターネット上で唯一無二のIPアドレス。世界で重複はNG。

プライベートIPアドレス:家庭内ネットワークの「町内目印」

 1つめのパターンのように、同じ町内にいる人のみに有効な目印を、ネットワークの世界ではプライベートIPアドレスと呼びます。

 プライベートIPアドレスは家や学校、会社等の組織の閉じたネットワーク内のみで利用されるIPアドレスで、PCやスマホ、プリンターなどが持っています
 最大のポイントは、ネットワークが異なれば、同じIPアドレスを割り振ることができる点です。これにより、全世界で同じ番号を再利用でき、IPアドレスの節約に繋がっています。

 プライベートIPアドレスは、組織内で自由に割り当てることができるのですが、利用可能な特定の範囲(レンジ)が決まっています。以下のアドレスレンジが、プライベートIPアドレスとして割り当て可能です。

  • 10.0.0.0~10.255.255.255
  • 172.16.0.0~172.31.255.255
  • 192.168.0.0~192.168.255.255

注意点:プライベートIPアドレスのレンジ外のアドレスを組織内の機器に勝手に割り当てると、インターネット接続時にトラブルの原因となるため、注意が必要です。

グローバルIPアドレス:世界で唯一無二の「正式な住所」

 一方、2つ目のパターンのような町内のみならず、どこでも通用する住所のことをグローバルIPアドレスと呼びます。

 グローバルIPアドレスは、インターネット上で利用される、世界で一つのアドレスで、重複することがありません。

 皆さんのご自宅のルーターには、このグローバルIPアドレスが一つ割り当てられ、これがインターネットにおける「世界的な住所」となります。

 インターネットを利用するには、NTTドコモやソフトバンク、KDDI等のインターネットサービスプロバイダー(ISP)というインターネットとの接続サービスを提供する事業者との契約が必要です。グローバルIPアドレスは、このISPから割り当てられているため、基本的に自分で好きなIPアドレスを割り振ることはできません。

 グローバルIPアドレスのアドレスレンジは、プライベートアドレスと一部の特殊な用途で利用されるアドレスを除いた0.0.0.0から255.255.255.255の全範囲から払い出されます。

プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを説明する画像
プライベートIPアドレスはネットワーク(組織)が異なれば同じIPアドレスを利用できます。グローバルIPアドレスは世界中で唯一のアドレスで重複不可です。

なぜIPアドレスは2種類必要なのか?(IPv4枯渇問題の背景)

 ここまで話を聞いて、「グローバルIPアドレスだけあれば良いのではないか?」と考えた方がいるかもしれません。全世界のすべてのコンピューターにグローバルIPアドレスを割り振ることができるのであれば理想ですが、実現は不可能です。

 その理由が、IPv4アドレスの総数の限界です。0.0.0.0から255.255.255.255までのIPアドレスの総数は約43億個(232個)しかありません。世界の人口が80億を超え、一人でPC、スマホ、ゲーム、スマートデバイスなど複数台の機器を利用する現代において、43億個のアドレスでは全く足りません。

 そこでプライベートIPアドレスの登場です。

 グローバルIPアドレスをルーターに一つだけ割り当て、その裏側で、各組織内で自由に再利用できるプライベートアドレスを使うことで、限られたグローバルIPアドレスを節約しているのです。

未来のIPアドレス「IPv6」とは? 桁違いの数で枯渇を解決

 このように、グローバルIPアドレスが不足しないような工夫がなされていますが、それでもIPv4アドレスは枯渇気味です。

 この枯渇問題の根本的な対応策として、IPv6アドレスへの移行が進められています。 IPv6アドレスは、約340澗(かん)個(2128個)という膨大な数があり、IPアドレス枯渇問題が根本的に解決されます。(IPv6の詳細は別記事で紹介します)

IPアドレスの管理

DHCPサーバーの役割:IPアドレスを自動で配る「管理人」

 普段からコンピューターを利用している方でも、日常生活においてIPアドレスを意識したことが無い人が多いと思います。これは、IPアドレスを管理しているDHCPサーバーと呼ばれる機器が、皆さんが利用しているデバイスに、自動でIPアドレスを払い出しているためです。

 家庭内ネットワークにおいて、大抵ルーターがDHCPサーバの役割も果たしてくれており、各デバイスにプライベートIPアドレスを自動で割り当ててくれます。

 注意点:DHCPサーバでIPアドレスを割り当てている環境で、手動でIPアドレスを割り当てると、IPアドレスが競合して通信が不安定になることがあるので注意が必要です。

変化する住所と固定の住所:ダイナミックIPとスタティックIP

IPアドレスの種類特徴利用例
ダイナミックIPアドレス(動的IPアドレス)接続のたびに変わる可能性のあるIPアドレスPCやスマホ
スタティックIPアドレス(静的IPアドレス)一度割り当てられたら変わることのない固定のIPアドレスWebサーバーやDHCPサーバー、DNSサーバー、ルーター

 DHCPサーバーから割り当てられるIPアドレスは、一定時間が経過すると別のIPアドレスに変わる可能性があります。これをダイナミックIPアドレス(動的IPアドレス)と呼びます。皆さんのPCやスマホには、ルーター(DHCPサーバー)から払い出されたこのダイナミックIPアドレスが割り振られているのが一般的です。

 逆に、一度割り当てられたら変わることのない、固定のIPアドレスをスタティックIPアドレス(静的IPアドレス)と呼びます。毎回IPアドレスが変わってしまうと困る機器(WebサーバーやDHCPサーバー、DNSサーバー、ルーターなど、ネットワークの基盤となるサーバーやネットワーク機器類)に割り当てられます。

DHCPサーバがIPアドレスを割り当てている画像
DHCPサーバはIPアドレスを管理するサーバーで、デバイスにIPアドレスを割り当てます。

自分のデバイスのIPアドレスを確認する方法

【実践】自分のIPアドレスを確認する方法(Windows:ipconfigコマンド)

 実際に、PCに割り当てられているIPアドレスを確認してみましょう。

 確認方法として、コマンドと呼ばれるコンピュータに何かをしてもらうための命令文を使ってIPアドレスを確認します。Windows PCでIPアドレスを確認するにはipconfigコマンドが利用されます。ipconfigコマンド自身のネットワークに関する設定情報を確認することができるコマンドです。

 ※ちなみに、MacやLinuxではifconfigip aといった別のコマンドを使います。

コマンドプロンプトを使ったipconfigの実行手順

  1. キーボードのWindowsキーRキーを同時に押すと「ファイル名を指定して実行」というダイアログが表示されます。
  2. 入力欄にcmdと記載してOKをクリックしてください。するとコマンドプロンプトと呼ばれる黒い画面が表示されます。
  3. コマンドプロンプトにipconfigと入力してEnterを押してください。プライベートIPv4 アドレスやサブネットマスク、デフォルトゲートウェイ等の情報が出力されます。
PS > ipconfig
### 省略 ###
Wireless LAN adapter Wi-Fi:

   接続固有の DNS サフィックス . . . . .: XXX.YYY.ne.jp
   リンクローカル IPv6 アドレス. . . . .: fe80::502a:4cea:eaab:6211%18
   IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . .: 192.168.11.4
   サブネット マスク . . . . . . . . . .: 255.255.255.0
   デフォルト ゲートウェイ . . . . . . .: 192.168.11.1
### 省略 ###

この記事のまとめ:IPアドレスの知識を定着させよう

この記事の重要用語をおさらい

  • IPアドレス:ネットワーク上の機器を識別するための住所。
  • グローバルIPアドレス:インターネット上で唯一無二のIPアドレス。
  • プライベートIPアドレス:家や会社などの閉じたネットワーク内で利用されるIPアドレス。
  • ダイナミックIPアドレス:接続のたびに変わる可能性のあるIPアドレス
  • スタティックIPアドレス:一度割り当てられたら変わることのない固定のIPアドレス
  • DHCP:IPアドレスを自動で割り振る仕組み。
  • ipconfig:Windowsで自分のIPアドレス等のネットワーク設定を確認するコマンド。

練習問題

  1. 問題
    次のうち、IPv4アドレスとして適切なものをすべて選択してください。
  • 10.1.3
  • 193:42:342:1
  • 172.17.6.150
  • 261.1.10.49
クリックして正解を表示

 IPv4アドレスは0~255の数字をドット(.)で区切った4つの数字の塊で表現されます

  • × 10.1.3 ⇒ IPv4アドレスは4つの数字の塊です。
  • × 193:42:342:1 ⇒ IPv4アドレスの区切り文字はドット(.)です。
  • 〇 172.17.6.150 ⇒ 正しいIPv4アドレスの表記です。
  • × 261.1.10.49 ⇒ IPv4アドレスは0~255の数字が利用できます。261は範囲外です。

  1. 問題
    次のアドレスが、それぞれプライベートアドレスかグローバルアドレスか答えてください。
  • 160.251.177.224
  • 10.21.1.100
  • 203.0.113.5
  • 172.30.241.31
クリックして正解を表示

 プライベートアドレスは10.0.0.0~10.255.255.255, 172.16.0.0~172.31.255.255, 192.168.0.0~192.168.255.255の範囲です。それ以外は基本的にグローバルアドレスだと考えてください。

  • 160.251.177.224 ⇒ グローバルIPアドレス
  • 10.21.1.100 ⇒ プライベートIPアドレス
  • 203.0.113.5 ⇒ グローバルIPアドレス
  • 172.30.241.31 ⇒ プライベートIPアドレス

3. 問題
 IPアドレスを自動で割り当ててくれるサーバの名前を答えてください。

クリックして正解を表示

 DHCPサーバーが皆さんが利用しているデバイスに、自動でIPアドレスを払い出しています。IPアドレスを意識せずにコンピュータが利用できるのはDHCPサーバーのおかげです。

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